‘01年春山 北アルプス「硫黄尾根」

日 程 :4月29日夜から5月4

メンバー:CL:K山,SL:I,気象:H本,食料:Y純
 


硫黄ジャンダルム P1にて
硫黄ジャンダルムP1から北鎌尾根
硫黄ジャンダルムP1から硫黄岳
硫黄ジャンダルム P3の懸垂下降
硫黄ジャンダルムP6から北鎌尾根
硫黄岳にて北鎌をバックに
雷鳥ルンゼ
南峰から槍ヶ岳
赤岳ジャンダルムP1
赤岳ジャンダルムP1と赤岳主峰群
赤岳ジャンダルムP6
赤岳ジャンダルムP6
赤岳ジャンダルムから赤岳主峰群
赤岳ジャンダルム群
西鎌尾根にて雷鳥のカップル
飛騨沢から涸沢岳
フキノトウ
新穂高温泉から穴毛谷
穴毛谷二の沢
 
4/29:大阪駅出発

20:30にホームに集合。連休前半のせいか並んで待つ乗客が少ない。荷物の重さと大きさに仕事の都合でキャンセルしたAさんに対し恨みごとを言ってしまう。Yさんが「ハンカチ2枚持ってきた」とか「ピッケルカバー買ったけど古いのも愛着があるのよね」というので自動販売機下へのデポを進める(無事回収できたのかな〜?)。 Sさんが泡盛の差し入れを持って来てくれた。他にもNさんからブランデー,K正会長からお小遣いと差し入れてもらっており、感謝感激。余裕を持って急行ちくまに乗車,早速睡眠薬(?)を飲み寝る。

4/30:信濃大町〜七倉〜湯俣〜硫黄ジャンダルム郡P1

高瀬ダム(7:10)−湯俣(10:10)…湯俣(11:15)−取付(11:45)−P1(14:50) 

 松本で乗り換え、急行アルプスで信濃大町へ。高瀬ダムへ4/29からタクシーの乗り入れが許可されたとのこと。Lucky! ゲートが開く時間まで駅でゆっくり過ごしタクシーで高瀬ダムへ。途中七倉の登山指導所で様子を聞くと2日前に2人パーティが入山し、また雪は平年並みの残雪量とのこと。ここから高瀬ダムへは乗客4名しか乗れないらしい。Aさんがいなくてちょうど4名。  小雨が降る高瀬ダムへ降り立ち、ここから林道を歩かなければならない。背中の荷物は重たくなるが足回りを軽く運動靴で湯俣へと歩く。私を除く3名は,かさを持参しておりちょっと後悔。途中、フキノトウを鑑賞しながら進み、思ったよりも早く湯俣へ到着。ここで靴を履き替えいよいよ硫黄尾根へと進む。  沢沿いを進み約20分,取り付きらしき形跡がない。そういえば踏み跡がなかったことも気になっていた。谷も思ったより荒れているようだし,沢幅が狭いし,湯俣の吊橋もなかったし・・・・。H本さんが奥を偵察に行っているときに地図を見ると1本前に「カラ谷」なるものがある。谷を越えたかな(?)と不安になりコンパスを出すと、ぴったりカラ谷の方向に進んでいる。  湯俣を出発して1時間、まだ湯俣にいる。仕切りなおして出発すると、湯俣の吊橋はあるし、覚えのあるような登山道だし、踏み跡はあるし・・・。吊橋を渡ってから約20分で右手尾根に向かって赤布がある取り付きに到着。急登ではあるが約10分で尾根上まで上がる。ここから樹林帯の登りとなる。雪はついているが、腐っており、たまに落し穴にはまり苦労する。しかし雪がないとブッシュに苦労しそうである。急な登りは雪壁となっており、夜行明けの体にはこたえる。急登と腐った雪の落とし穴にあえぎながら2031mらしきところを通過するが、はっきりした地点が分からないまま進むと岩稜地帯に突入した。偵察の結果、ワンポイントの岩場を越えた小ピーク(後に硫黄ジャンダルム郡P1と分かる)に幕営とする。この頃には雨も上がり、展望が開けてきて槍ヶ岳や大天井方面がよく見える。明日行くP6の登りや硫黄岳への高度差をみてビビりながら就寝とする。

5/1:硫黄ジャンダルムP1〜硫黄岳〜南峰

 P1(5:55)−小次郎のコル(8:00)−硫黄岳(10:00)−硫黄台地(10:40)
−雷鳥ルンゼ下(11:50)−南峰(12:50) 

今日は、春山らしい晴天であり、快適な1日となる。岩稜を越え、P3の下りでY純さんは前向きのまま下っていったが、シュリンゲをFIXする。遠目には厳しそうだった岩稜を登りP6へ到達。P6は、テントが張れそうな広いピークである。ここからハイマツ帯の踏み跡を急下降し小次郎のコルへ到達。一部左手から巻きながら鞍部を進み、硫黄岳への比較的急な雪壁を登る。途中岩が露出しているところでは雪が不安定であり、乗越したときに右手に持っていた大きな岩を落石してしまった。念のため乗越しの1ポイントにシュリンゲをFIXして通過し、硫黄岳頂上へ到達。 硫黄岳頂上は、ハイマツが生えた広い雪面であり、なだらかな雪面を下り硫黄台地へ向かう。視界が利かないときには方向を悩むだろう。硫黄台地から雷鳥ルンゼの下降では、そのままダケカンバを支点に懸垂をしようかと悩んだが、左手の雪面を後ろ向きに50〜60m下降し、残置支点のある岩場に到着,ここから落石に注意しながら1pの懸垂とする。更にH本さんが先行して下降するが、ザイルFIXしたほうがいいというので1pザイルをFIX。最後尾で下降しようとしたらザイルを外せということで、しかたなくザイルを手放し、フリーで雪面を下降する。雪面自体は、問題ないが浮石など落石に気を使う。そこから問題なく南峰へ到着。 南峰は、広いピークで幕営には最適。行く手に核心の赤岳ジャンダルム群から赤岳主峰群が見えており,この先進むか非常に悩む。次に幕営できるところは核心の赤岳ジャンダルム群を越えた中山沢のコルまでなく、おおよそ3時間の行程。明日のことを考えて「先に進もうか」と声をかけるが反応無し。「ここで泊まろうか」と声をかけるとテントを干そうとするものなどが居り、結局ここで幕営することにする。晴天が続いており、テント,寝袋などすべてのものを出し乾燥させながら雪見酒とする。北鎌尾根もよく見え、360度の展望が楽しめる、まさしく大展望ルートである。

5/2 南峰〜赤岳ジャンダルム群〜赤岳主峰群〜西鎌尾根〜槍平

 南峰(5:15)−中山沢のコル(9:30)−白樺平(11:50)−西鎌尾根(12:50)
−千丈沢乗越(15:15)−槍平(16:25)

今日は、曇り。急な浮石の多いガレ場を下り、いよいよジャンダルム群の通過となる。P1,2は右の雪壁を巻く。P3は、リッジ通しに登り問題なし。P4はY純さんがザイル40mをFIXするが、Iさんのみが使用し我々は使わせてもらえない。下りは岩を支点に懸垂2p。そこからP5へは雪稜をたどりP6へ。P6はY純さんにトップを譲り(押し付け)リッジ通しにザイルをFIX。これもIさんのみが使用し、我々は使わせてもらえず。P7へはルンゼ状の岩場を登っていくと右側に向かって懸垂支点があるがフリーで下れそうであり様子を伺うが皆の到着を待つ。Y純さんが下降し様子を伺うが、雪壁の後の岩稜がかなり悪そうである。H本さんが右手の雪壁を偵察に行き、後に続く。P8へは左手から巻いた後、Y純さんが岩場を先行して登り、「ザイルFIXしたほうがいい」というがH本さんが右手の雪壁にルートを見出し後に続く。コルに出るところがやらしく、シュリンゲFIX。Y純さんの話ではピークから懸垂なら20mほどのようだが、支点の岩が動くらしくクライムダウンでコルヘ出たらしい。地形図ではさっきY純さんが登ったところが赤岳となっている。ここから雪壁を下降し中山沢のコルヘ。核心を抜けほっと一息するが、更に先に進むことにする。 赤岳主峰群P1は、急で雪質の悪い雪壁を登る。途中、岩の上にうっすら積もった雪ヶあり緊張させられる。P2へはリッジ通しに進み、下りは左側雪壁を下りコルへ出る。P3からP5までは雪稜を辿り、ハイマツの生えたピークを越え白樺平へ到着する。時間も早く、せっかくここまで来たのだから更に先を目指し、左手のダケカンバのある雪面からハイマツの生えた雪稜を辿り進む。なだらかな広い斜面が続いているイメージであったが、実際には雪稜を辿り、目前に西鎌尾根の左俣岳の雪面を左に見ながら西鎌尾根へと飛び出す。この辺りにも幕営できそうであったが、槍ヶ岳を目指して西鎌尾根を行く。 西鎌尾根は右からの風がそこそこ強く吹いており、この頃から雪も降り始め、コース的には問題ないが気候条件と体力的には厳しい行動となる。西鎌尾根の雪庇は、右側に張り出しているが踏み跡が尾根上左側を行くことが多く、右側にハイマツがあるため雪を踏み抜いてしまい、ルート取りに悩みながら進む。ルートが比較的左側を行っているように感じたが夏道がそのようについているのかもしれない。何しろ西鎌尾根を歩くのが17年ぶりなので記憶が定かではない。なかなか千丈沢乗越に着かず、右側に尾根が見える毎に中崎尾根かと思いながら進み、へろへろになった頃千丈沢乗越に到着。時間が遅く、ここから槍ヶ岳の肩まで2時間以上かかること,天候の回復見込みがないことから、このまま飛騨沢を下降し槍平を目指すことにする。先導役をH本さんが買って出て、下降を開始。最初は、夏道通りに行き途中で中崎尾根へトラバース。雪面が割れている個所もありちょっと緊張(でも雪質は安定していました)しながら下降し、ダケカンバが生えているところから左に再度トラバースし、大喰岳西尾根取り付きの大きなダケカンバに到着し、ほっと一息つく。ガスっていて目標が定まりにくい中、見事なルート選定でした。 ここから一気に槍平を目指し下り、ブッシュが見えないくらい正月よりも雪が多い槍平に到着、幕営とする。差し入れのブランデーが残っているので小屋の周りを物色しツララを採取。雪は、相変わらず振っているが雪見酒をしながら硫黄尾根の踏破を喜ぶ。 

5/3 槍平〜新穂高温泉

 槍平(8:40)−滝谷出合(10:10)−白出沢出合(11:25)−穂高平小屋(12:10)
−新穂高温泉(13:30) 

夜も雪,朝起きても小雪が残っており、帰阪も可能だったが雪がやむのを待って行動岸する。滝谷出合までは沢通しに下り、かなり早く到着。途中多数のデブリがあり、中には雪に巻き込まれている小枝から新鮮なデブリと思われるものもあり、ちょっと緊張する。 展望も利くようになってきて滝谷ドームも見え、景色は最高。白出沢手前からはフキノトウを鑑賞しながら下降する。途中穂高平小屋で美味しい牛乳をいただきく。 新穂高温泉のロープウェイ駅裏手のキャンプ場に幕営し、念願の温泉,ビールの調達となる。下山打上げのためにグリーン穂高で油と醤油を分けていただき、ビールもここが一番安かった。ロープウェイ乗り場前の温泉卵販売コーナーで生卵も調達し、夕食準備もバッチリ。楽しい下山打上げとなる。

5/4 新穂高温泉〜高山〜帰阪

朝はゆっくりと寝ていたらテントの外でガサゴソと物音がする。Y純さんがしばらくして表に出ると朝食にするはずだったラーメンがない。H本さんが片付けでもしてくれているのかと思っていたらどうも違っていてカラスに朝食を取られたようだ。 代わりの朝食を食べた後、下見をしてきたH本さんの案内で穴毛谷方面の散策に出かける。キャンプ場裏手にあるホテル敷地内に露天風呂があり、Y純さんはもう少し早く知っていれば入りたかったようだ。笠ケ岳に向かって伸びる穴毛谷には支沢がいくつかあり、今朝も2人組が二の沢に登っていったらしい。見上げると岩場が出てきそうでありなかなか困難さが予想される。次年度の目標の一つとして写真に収めておく。 荷物をまとめ、高山経由で帰阪。高山では日本酒酒蔵の試飲を楽しみにしていたが有料ということで断念し、特急ひだで帰阪の途についた。